【キネブラ】Vol.5 カランジル(Carandiru)
7000人以上が収監されているラテンアメリカ最大の刑務所カランジル。そこで起きる様々な出来事や囚人のエピソードを綴(つづ)ったこの映画は、ブラジル国内で460万人以上の観客動員数を記録した。
犯罪率の高いブラジルでは刑務所の数が極端に不足しており、多くの刑務所では制限人数以上の囚人が収監されている。粗末な設備、囚人に対する扱いのひどさなどから刑務所内では年に何度も暴動や脱獄(だつごく)騒ぎが起き、その度に多くの死傷者が出る。問題はそれだけではない。囚人同士の性的交渉により広がるエイズ、衛生管理の欠如などによって引き起こされる結核などの感染病も解決策を見ず放置されたままだ。
映画の中で囚人たちは、自らが抱えるありとあらゆる健康の問題や悩みを、着任したばかりのドクターに相談する。ドクターは非人道的な状況下で生活している彼らの中にも、強い人間性や生きる意思があることを知り感銘を受ける。ブラジルらしく、刑務所内でサッカーやカポエラをする囚人の姿や、家族と食事をしたりできる面会日などが興味深い。147分にも及ぶ上演時間の間に数え切れないほどの衝撃的なシーンがあるが、ただ恐ろしいだけの映画ではなく、ところどころでしっかりと笑わせてくれる。
原題 Carandiru
監督 ヘクトル・バベンコ
主な出演者 ミルトン・ゴンサルベス
ルイス・カルロス・バスコンセーロス
マリア・ルイーザ・メンドンサ
カイオ・ブラッチ
ロドリゴ・サントロ